2026/02/04 18:00

Karakusa Workのデザインで必ず登場するスクロールについて、スクロールとは何かなど詳しく解説します。
Scroll(スクロール)を直訳すると「巻物」、「渦巻き模様」など、グルグルした形状のものを指します。洋彫の図案で多く見かける植物が渦巻くデザインを英語で「スクロール」と言います。日本語だと唐草模様でしょうか。ヨーロッパなどで建築物の装飾など古代から見られるデザインも同様なのですが、ここでは洋彫の界隈に限ってその歴史を調べてみます。
洋彫におけるスクロールの始まりを辿ると、19世紀イギリスで銃器装飾に植物の螺旋模様の彫刻が流行したことが始まりと言われています。小さな (約 5 mm 前後) 螺旋の中に葉が連なって描かれていて「オウムガイの小室のよう」と比喩されているのを多くみかけます。誰が考案したのか不明ですが、工業製品への装飾からスクロールは始まりました。
イングリッシュスクロールの例 スクロールの元祖?

このデザインは「イングリッシュ・スクロール」、「ファイン・スクロール」、「スモール・スクロール」など呼ばれています。ここでは「イングリッシュ・スクロール」に統一します。この「イングリッシュ・スクロール」は世界中で流行して銃器やナイフの装飾として、今現在もスタンダード・デザインとして愛されています。また、シンプルな図案のため微細に彫刻が可能で腕時計やコインなど小さなものへの彫刻の図案で多く見かけられます。
英語:ENGLISH FINE SCROLL、ENGLISH FINE、FINE SCROLL、SMALL SCROLL
独語:ALTENGLISCHE ARABESKEN
伊語: INGLESINA

イングリッシュスクロールの展開例です。葉が密集して群生した植物を連想させます。画一的なパーツの繰り返しのためどうしても単調になりがちです。チルダ(~)のような形状の彫りを周囲に配置することがあり、蔓を表現していると思われます。特にクラシックな作品で多く見ることができます。

参考文献
Roger Bleile「Hand Engraving Glossary」https://www.engravingglossary.com
Ron Smith (2007)「Advanced Drawing of Scrolls」Glendo Corporation
Ron Smith (2008)「Drawing & Understanding Scroll Designs」Glendo Corporation